Irish Poplin tie アイリッシュポプリンのネクタイ

目次

はじめに

今回は、トラディショナルなネックウェアの一つであるアイリッシュポプリンのネクタイをご紹介したいと思います。

Irish Poplinとは

ポプリンという言葉を聞くと、シャツ生地によく使われているコットンポプリンを思い浮かべる人もいると思いますが、アイリッシュポプリンは綿素材ではありません。
アイリッシュポプリンとは、経糸(たていと)にシルク、緯糸(よこいと)にウーステッドウールを用いた織物です。
古くは、ポプリンといえば、シルクとウーステッドウールで構成された織物であり、綿で織られたポプリンは”コットン”ポプリンというわけです。
その歴史は古く、17世紀、宗教的迫害から逃れるためにアイルランドにやってきたユグノー Huguenot によって織られ始めたといわれています。
絹織物の技術をもつユグノーは、アイルランドの高品質なウールを使ってアイリッシュポプリンを生み出しました。

Atkinsons のネクタイ

現存する最も有名なアイリッシュポプリンメーカーに Atkinsons があります。
Atokinsons は、1820年、当時のダブリン市長であったリチャード・アトキンソン氏 Richard Atkinson によって創業されました。
1837年にはヴィクトリア女王よりロイヤルワラントを獲得し、現在でもタグには “Royal” Irish Poplin と誇らしげに書かれています。

Royal Scots tie

アイリッシュポプリンは主に婦人服地として用いられてきましたが、1900年代初頭、ネクタイに使われるようになりました。

長い歴史をもつ Atkinsons を代表する商品は、なんといってもレジメンタルタイ、スクールタイ、クラブタイ等の特定のグループに属することを示すネクタイです。

Royal Navy tie
英海軍のネクタイ
http://www.atkinsons
ties.com/
btoc/product.php?id
=388&catid=14
Royal Air Force tie
英空軍のネクタイ
http://www.atkinsons
ties.com/btoc/product.
php?id=371&catid=14

着こなし

前述のようにレジメンタルタイ、スクールタイ、クラブタイ等に用いられてきたことや、光沢が控えめであることから、アイリッシュポプリンのネクタイは、ツイード等のスポーツコートやブレザーと相性がよいです。

アイリッシュポプリンとツイードジャケット
Instagram@jpressclothiers
アイリッシュポプリンと素材感のある上衣
(スポーツコート?)
Facebook@J. PRESS
チャールズ国王はRoyal Scots tie がお気に入りのようで
よく着用しているのを見ることができる。
ちなみに、チャールズ国王は、これと同じ色柄
(Royal Scots) でより光沢のあるネクタイを
別に所有しており、
そちらはスーツに着用していることから、
アイリッシュポプリンはスポーツコートに、
光沢のあるもう一方はスーツに、と
意図的に使い分けているものと想定される。
https://www.countrylife.co.uk/nature/
hrh-the-prince-of-wales-why-we-must-
save-our-trees-168267
アイリッシュポプリンはカントリースタイルに
とてもよく合う。
https://www.ok.co.uk/lifestyle/
prince-charles-makes-changes-after-
24158378?int_source=amp_continue_reading&
int_medium=amp&int_campaign=
continue_reading_button#amp-readmore-target

おわりに

今回はアイリッシュポプリンのネクタイについて解説しました。
オフィスカジュアルが進んでいる近年においてスポーツコートに最適なアイリッシュポプリンは使い勝手のよいアイテムだと思います。
しかし、ここ数年、日本では取り扱いが少ないのが残念です。
見かけたらラッキーと一度手に取ってはいかがでしょうか。

今回は以上になります。
コメント、リクエストがあればお気軽にどうぞ。
ではまた次の機会に。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • いつもブログを通して、オーセンティックな装ひについて学ばせていただいております。こちらの投稿内容に関連して一点質問させていただきます。ストライプのネクタイについて、英国式と米国式でそれぞれ右上がりと右下がりという特徴があるという認識だったのですが、この投稿で紹介されているRAF、英国空軍のレジメンタルは米国式の右下がりとなっています。AtkinsonsのHPを見ると、他にもいくつか右下がりのレップが紹介されていました。これは、必ずしもストライプの向きが国別の特徴を示しているわけではないということなのでしょうか。ブログ主様がどの様に理解されているか教えていただけると幸いです。

    • ksks様

      フォローありがとうございます。

      ブルックスブラザーズが右下がりのネクタイを販売したことが定説であり、右上がりが英国式、右下がりが米国式との認識もございます。
      (※定説ではありますが、ブルックスブラザーズに限らず、メーカーがオリジナルを主張する例はよくあることであり、その説得力は知名度や影響力に左右されるものであるため、その真偽には留意が必要です。)

      一方、組織や団体への所属を示すレジメンタルタイは、右上がりとするか、右下がりとするか、その組織・団体が自由に決めてよいものです。
      英国に関連のある組織・団体のうち、右下がりのレジメンタルタイを採用する組織・団体は複数あります。
      例えば、記事で取り挙げたRoyal Air Force(英国空軍)のほか、有名どころではRoyal Marines(英国海兵隊)等です。
      (ネットで探していただければ、RAF,RMのレジメンタルタイをチャールズ国王はじめ英王室メンバーが着用されている写真もございます。)

      したがって、「右上がりが英国式、右下がりが米国式」という認識はございますが、ストライプの向きが必ずしも国を示さないということです。

      装ひ研究所 管理人

  • 管理人様

    お叱りの後の返信で今更ではありますが、返信のお礼をさせてください。

    今回のストライプネクタイの向きに対する考え方は大変参考になりました。また一つメンズドレスに対する理解が深まり、装うことを一層楽しめそうです。今後もご教授のほど何卒よろしくお願いします。

    • ksks様

      ご返信ありがとうございます。
      お役に立てたのであれば幸いです。
      またお気軽にお問い合わせください。

      装ひ研究所 管理人

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