千鳥格子(歴史や着こなし例)

目次

はじめに

スポーツコートやトラウザース、スーツ等に使われる伝統的な柄に千鳥格子(=ハウンドトゥース柄)があります。
今回はドレススタイルの定番柄である千鳥格子を取り挙げたいと思います。

ハウンドトゥースとシェパードチェック

ハウンドトゥースと似た柄にシェパードチェック Shepherd’s check があります。

次のように織り方を比較すれば、柄の差異は4×4と6×6といった糸の配置に起因することが分かります。
対照的な色を組み合わせることや糸の通し方は同じであり、起源は同じと考えられています。

Historical Beginnings
The Pastoral Emblem
Houndstooth, originally known as “Shepherd’s Check,” emerged from the 19th-century Scottish Lowlands. This duotone pattern, abstract four-pointed shapes, resembled the jagged edges of a hound’s teeth. Woven into wool cloth, it adorned the outer garments of the Scottish gentry, symbolizing rural life and the rugged Scottish landscape. The pattern’s deep connection to its geographical and cultural roots laid the foundation for its symbolic significance.
歴史の始まり
牧歌的な象徴
ハウンドトゥースはもともと「シェパードチェック」として知られ、19世紀のスコットランドの低地で生まれた。2つの色の組み合わせで表現したデザインは、抽象的な四角形で、猟犬の歯のギザギザに似ていた。ウール生地に織り込まれたこの柄は、スコットランドの貴族の外衣を飾り、田舎暮らしとスコットランドの荒々しい風景を象徴していた。地理的・文化的ルーツとの深い結びつきが、この柄の象徴的意義の基礎を築いたのである。

encyclopedia.design, “Houndstooth: A Journey Through Time and Design”
https://encyclopedia.design/2024/04/11/houndstooth-a-journey-through-time-and-design/

ハウンドトゥース・シェパードチェックの歴史

シェパードチェックはその名のとおり、 shepherd = 羊飼いに由来する柄です。
スコットランドの羊飼いが悪天候から身を守ったり、子羊を包んで運んだりするブランケットの織柄がシェパードチェックの直接のルーツといわれています。
やがてこの織柄はスポーツウェアを中心に取り入れられ、スポーツコートやトラウザース、スーツ等の定番柄になりました。

https://stagandbruce.co.uk/blogs/news/shepherds-check

The shepherds’ check was “the traditional pattern of the shawls or plaids worn by the Border shepherds and introduced to the Highlands along with the sheep late in the eighteenth century.’ These small-checked plaids became closely associated with the Scottish shepherd when described by the poet or painted by the artist. When James Hogg, the poet known as ‘The Ettrick Shepherd’, was painted about 1827 by Watson Gordon, his large plaid was conspicuously shown draped over his shoulder (67).
Such plaids served two purposes, to protect the shepherd in bad weather, and to carry new-born lambs. They were nearly always rectangular in shape and often fringed at the ends. There was also a certain type known as the ‘Poke Plaid’, the ends of which were sewn up to form large pockets for carrying lambs.
シェパード・チェックとは、「18世紀後半に羊とともにハイランド地方に持ち込まれた、ボーダーの羊飼いが身に着けていたショールやチェック柄の織物の伝統的な模様」のことである。これらの小さなチェック柄の織物は、詩人によって描写されたり、画家によって描かれたりすることで、スコットランドの羊飼いと密接に結びつくようになった。「エトリックの羊飼い」で知られる詩人ジェームズ・ホッグがワトソン・ゴードンによって1827年頃に描かれたとき、チェック柄の大きな織物が肩に掛けられているのが目立っていた(図67)。
このようなチェック柄の織物には、悪天候の中で羊飼いを守ることや、生まれたばかりの子羊を運ぶことという目的があった。長方形で、端にフリンジがついていることが多かった。また、「ポケ・プレイド」と呼ばれるタイプもあり、その両端は子羊を運ぶための大きなポケットになっていた。

John Telfer Dunbar, The costume of Scotland, London: Batsford, 1981, pp.151,152

着こなし例

千鳥格子柄は、スポーツコート、トラウザース、スーツ等に使われます。
特に、千鳥格子柄のツイードジャケットはスポーツコートの定番です。

シェパードチェック柄のキャップ、
ハウンドトゥース(hound’s tooth)のジャケット、
ネイビーのタートルネック、
グレーフランネルトラウザース、
茶の外羽根プレーントー
(右の紳士)。(1935.10 esquire)
ツイードのハット、
ハウンドトゥース柄(hound’s tooth)
のオッドジャケット、
ケーブルニットのスリップオーバー、
ウールタイ、
青色のオックスフォードシャツ、
グレーのフランネルトラウザース、
(左の紳士)。(1935.9 esquire)
黒と白のシェパードチェック柄の
フラットキャップ、
茶色のハウンドトゥース柄
(hound’s-tooth check)のジャケット、
白のスリップオーバー、レップタイ、
青色のオックスフォードシャツ、
ライトグレーのフランネル
トラウザース
(1934.9 esquire)
ポークパイハット、
ハウンドトゥース柄
(hound’s tooth)
のジャケット、
ストライプ柄のタイ、
赤色のポケットチーフ、
コーデュロイトラウザース、
起毛素材の外羽根プレーントー
(1940.5 esquire)
https://www.british-made.jp/staffblog/39357
コットンジャケット、オックスフォードシャツ、
ウールタイ、千鳥格子柄のトラウザース、
ノルウィージャンシューズ
(右の紳士)(1945.5 esquire)

おわりに

今回は千鳥格子の歴史、着こなし例を紹介しました。
千鳥格子は伝統的な柄であり、スポーツコートの定番柄の一つであり、柄のジャケットをはじめて購入される方にもおすすめの一着です。

今回は以上になります。
コメント、リクエストがあればお気軽にどうぞ。
ではまた次の機会に。

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