白革靴のすすめ(ホワイトバックス、スペクテイターシューズ等)

目次

はじめに

今年も夏がやってきました。
夏場にはどんな靴を履いていますか?
夏場でもきちんとした装いをしている方は、茶のローファーや、茶のスエードの紐靴を履かれているように思います。

近年、既成靴で見かけることが少なくなりましたが、ホワイトバックス white bucks(牡鹿革)、コーレスポンデントシューズ co-respondent shoes /スペクテイターシューズ spectator shoes (白と黒又は白と茶のコンビ靴)等白革靴も夏の定番です。

ホワイトバックス
https://www.lakotahouse.com/journal/2017/06/alden-n6439-white-bucksshoe.html
コーレスポンデントシューズ、スペクテイターシューズ
https://worldfootweargallery.storeinfo.jp/posts/5868239/


今回は白革靴を取り挙げたいと思います。

半世紀以上定番であり続けた白革靴

短靴が一般化してきた1910年代に、早くも白革靴は着用され始めました。

1918年の南部の避暑地でのファッション調査は、~中略~オックスフォードの一般化が流行してきたことを示した。パームビーチで見られた、特に流行の先端を行く服装をしたひとりの男は、~中略~それに茶色の仔牛革の縁飾りをつけた白い鹿革のオックスフォードを着用していた。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.295

1915年のブルックスブラザーズのカタログにも白革靴が掲載されています。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、
高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・
ファッション百科事典〈日本語版〉』
スタイル社、p.296

1925年の調査によれば、パームビーチの72%の人が白革靴を履いていました。

パームビーチで休暇を過ごす最高におしゃれな男300人の靴の趣向調査によれば、オール・ホワイトの靴が全体の20㌫に達し、黄かっ色のおかめ型の爪先の白が19㌫、黄かっ色の一文字型爪先の白が14㌫、おかめ型の黄かっ色が7㌫、黄かっ色のサドル・ストラップ型の白が7㌫、一文字型の黄かっ色が7㌫、爪先と爪皮を黄かっ色にした白が7㌫、一文字型の爪先を黒にした白が5㌫、であった。~中略~(1925年9月9日号61㌻)

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.297

1930年代に入っても廃れることなく、1930年代後半以降、これまでのストレートチップやウイングチップの白革靴に代わり、ノルウィージャンやローファーの白革靴がメジャーになっていきました。
このように長い間、白革靴は定番であり続けました。

1934年4月、『エスカイア』誌は、底とかかとが赤いゴム、上が白いバックスキンの、裏なしの、白い無飾りのバックスキンの靴の最新型を特集した。これは行楽用、スポーツ観戦用に特にスタイリッシュな靴として紹介された。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.302

『エスカイア』誌1936年7月号は~中略~茶と白を組合わせたノルウエーアン・シューズを紹介した。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.303

1938年、『エスカイア』誌は見開き2ページを使って、アメリカの男性が選択することができる非常に多様な靴のさまざまを掲載した。ビーチ・ウエアには、~中略~茶と白の2色使いの靴、そして、海辺のクラブ用には、茶と白の2色使いのノルウエー型モカシンがあった。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.304

「大学の学部在学生は、一般の人たちとほとんど同じような服装をしている」と、『エスカイア』誌1940年9月号は注目した。~中略~白と茶、または白と黒のサドル型スリッポン、~中略~というような靴を身につけているアイビー・リーガーを紹介した。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.305

一時的な人気後退の後に、1948年スリッポン型の白いモカシンが出現し、白い靴が目ざましく復活してきた。その靴をバハマ諸島のキャット・ケイにちなんで「キャット・ケイ(Cat-Cay)」と名付けた『エスカイア』誌は、リゾートのスポーツマンのためのボールド・ルックを具象していると認め、11月号では、黒いエナメル塗装もできる赤いゴム底と甲皮の上にストラップがついた、白い仔牛裏革のキャット・ケイを特集した。「特に格好よく見えるだけではなく、厚い底は畝がつくられていて、普通では特別製のスポーツ・シューズからしか得られない、安定感があって柔軟なはき心地を与えてくれる」このキャット・ケイは50年代になっても流行が衰えることはなかった。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.305
※本文中に11月号とあるが、正しくは1949年6月号(下の引用参照)

Cat-Cay Moccasin. Cat “Key”, that sportsman’s paradise in the Bahamas, has exploded a fashion trend as big as any tuna pulled from her blue waters: the dressed look in sports. This moccasin typifies it-rugged and comfortable as its forbears in Norway, but now you find it in white reversed calf, and boldly finished off by red rubber soles (can be black enameled). Not only obviously good-looking but the deep soles are ridged to give you the firm and soft footing you normally get only from specially built sports shoes.
キャット・ケイモカシン バハマにあるスポーツマンの楽園、キャット・ケイは、青い海から引き揚げられたマグロと同じくらい大きなファッショントレンドを爆発させた。このモカシンはその典型例で、ノルウェーの先祖がそうであったように頑丈で履き心地が良いが、今では白のスエードで、大胆にも赤いラバーソールで仕上げている(ソールは黒のエナメル加工も可能)。明らかに格好良いだけでなく、厚みのあるソールには畝があり、通常は特別に作られたスポーツシューズでしか得られない、安定感があり柔らかな足入れを実現している。

1949.6 esquire
1949.6 esquire

1960年~1970年
白いスラックスが流行し、改良されたなめしの技術が白い皮革を洗ったり磨いたりするのを容易にしたので、白い靴が夏のスポーツ用ワードローブに欠かせないものになった。この白い靴の中で最も多く見られたのはスリッポン型だった。

O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)
『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、p.307

現代の着こなし

白革靴は暖かい気候、夏の日差しによく映えます。
ミディアムグレー、ライトグレー、ベージュ等暗くないトラウザースとの相性が良いです。
模範的な例を見ていきましょう。

https://oceans.tokyo.jp/fashion/2018-0612-2/
Instagram@akamineyukio

おわりに

白革靴は夏場のワードローブには欠かせないものですが、既製靴で見つけることが難しい靴です。
白という特性上、どうしても汚れやすいことが敬遠されている理由だと思いますが、手入れ自体はそれほど難しくありません。(いずれご紹介したいと思っています。)

メンズドレススタイルに興味がある人であれば、白革靴は一度は手にしたいものではないでしょうか。
既成靴で選択肢が増えると良いなと思っています。

今回は、以上になります。
感想、リクエスト等コメントお待ちしています。
ではまた次の機会に。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次