はじめに
ここ数年、ネイビー、グレー、茶に次ぐスーツ・ジャケットのカラーとして、グリーンが注目されています。
Gabo のグリーンコーデュロイジャケット(24-16-0009-435)がビームス中村さんイチ押しとして紹介されていました。

個人的にモスグリーンのコーデュロイが気分であり、共感したところですが、グリーンのジャケットを街中で見かける機会はまだまだ少ないように感じます。
やはり、ネイビーやグレーと比べると、グリーンのジャケットやスーツは合わせづらいと感じる方が多いのではないでしょうか。
今回は、グリーンのジャケット・スーツの着こなし方を解説したいと思います。
ブルー系と赤系
グリーンとブルー、グリーンと赤は相性のよい組み合わせで、ネクタイの配色にもよく使われています。

グリーン系(グリーン、オリーブグリーン等)に、ブルー系(ネイビー、サックス等)や赤系(エンジ、ピンク等)を組み合わせるのはベーシックな組み合わせです。

赤ベースのチェックのネクタイを
合わせている(右の紳士)。(1934.3 esquire)

ネイビーと赤のストライプタイを着用する
マイケル・オブ・ケント王子。
https://sportscardigest.com/behind-scenes
-2014-goodwood-revival-picture-gallery/5/
グリーンとブルー系、赤を使った完璧なスタイリング。
ブルー系
グリーンのジャケット・スーツに相性のよい色の1つは、ブルー系です。
グリーンのもつカントリーな雰囲気を、都会的なブルー系が程よく中和してくれます。
特に、グリーンのジャケットとサックス(青にグレーを足した色)のシャツは定番の組み合わせです。
グリーンのトーンにもよりますが、ほとんどの場合、ブライトなブルー系では相性が悪くなってしまうことに注意してください。
着こなし例

ブルー系のシャツ、ネイビーベースのネクタイを
合わせている。(1936.4 esquire)

ブルー系のチェックシャツとニットタイ。
Drake’sのオーナー Michael Hill 氏。
https://www.ft.com/content/
0d0d66eb-15df-4f61-b066-a70f2c88c136
赤系
グリーンのジャケット・スーツに相性のよい色は、赤系です。
特に、グリーンのジャケットと赤系のネクタイは定番の組み合わせです。
ただし、グリーン系と赤系はおよそ補色関係にあり、互いに組み合わせると強い印象を与えます。
したがって、グリーンと赤の両方がはっきりとした色の場合、合わせることが難しくなってしまうことに留意してください。

相対する位置にある二色は補色の関係にある。
http://zokeifile.musabi.ac.jp/
%E8%89%B2%E7%9B%B8%E7%92%B0/
着こなし例

グレーと白のストライプシャツ、
赤ベースのボウタイを合わせている
(中央の紳士)。(1935.7 esquire)

ツイードスーツに、
ワインのニット、
ワインのシルクニットタイを
合わせている。
(1935.1 esquire)

サックスのストライプシャツと赤系のタイ。
Drake’s オーナーのマイケル・ヒル氏 Michael Hill 。
https://therakejapan.com/issue_contents/
what-is-new-luxury-vol-3/

Instagram@kay.ivy.album
赤系を広く捉えてオレンジもグリーンととても相性がよいです。

オレンジのネクタイ。
ウールのホーズ、グレーのグレナカートチェックの
フランネルのシャツ、
ワイン色のニットベスト。
(1935.4 esquire)

オレンジベースのネクタイを合わせる
Andreas Weinas 氏。
Instagram@shibumi
この手のカラーは、落ち着いたトーンを
表現できるプリントタイが合わせやすい。
ジャカートではどうしても色が強く出てしまう。

こちらも同じくオレンジ系のプリントタイ。
ネクタイの柄の一色であるネイビーを
ブレイシスで拾うところも含めて
素晴らしいコーディネート。
ブルー系とグリーン系を組み合わせるときの工夫
先ほど、ブライトなブルー系では相性が悪いことを留意点として挙げました。
「グリーンよりブルーが目立つと合わせにくい」、「彩度の高いブルーよりも彩度の低いブルーのほうがグリーンと組み合わせやすい」と言い換えることができます。
(※当然ながら、ネクタイの中で柄を粒立てる場合は別です。)

そこで、ブルー系とグリーン系を組み合わせるときの工夫を具体的なアイテムを列挙していくつかいくつかご紹介します。
JKT | Shirt | Tie |
---|---|---|
・青い柄のあるグリーンのジャケット(ブルーとグリーンを馴染ませる) | ・サックスシャツ(彩度の低いグレー寄りのブルーにする) ・ストライプあるいはチェック柄シャツ(ブルーの面積を少なくする) ・グリーンの柄の入ったシャツ(ブルーとグリーンを馴染ませる) | ・暗いトーンのネイビータイ(彩度がやや低く、明度も低いブルーにする) ・暖色系のネクタイ(誘目性の高い暖色を用い、ブルーを目立たなくする) ・グリーンの柄の入ったネクタイ(ブルーとグリーンを馴染ませる) |
トラウザースの色
グリーンのジャケットの下に履くトラウザースを、前述のようにブルー系や赤系とすることは必ずしもうまくいくとは限りません。
Vゾーンとトラウザースでは面積が異なり、同じ色でも相手に与える印象が変わるからです。
例えば、グリーンのジャケットに赤系のトラウザースは派手な印象を与えます。
オーセンティックに装う場合、トラウザースには、ブラウン、ベージュ、グレーといったベーシックな色が適しています。
ブラウンやベージュは、グリーンと同じアースカラーで相性がよいです。
グレーは無彩色であり、合わせる相手を選びません。

グリーンと赤のレップタイ、
フランネルシャツ、
茶色のシェットランド
トラウザース、
ノルウィージャンシューズ。
スキートシューティングを
行う紳士。
(1936.11 esquire)


厚手のツイードのロバットスポーツコート、
ストライプタイ、細身のキャバリーツイルトラウザース
(右の紳士)。(1937.9 esquire)
おわりに
今回は、グリーンのジャケット・スーツの着こなしについて解説しました。
グリーンとブルー系、グリーンと赤系はともに相性のよい組合せです。
特に、サックス(青にグレーを足した色)のシャツやワイン、ボルドーのネクタイは定番品です。
グリーンのジャケット・スーツは、誰でも持っているようなサックス(青にグレーを足した色)のシャツや暗いトーンのネイビーのネクタイと相性がよいことがご理解いただけたと思います。
ネクタイを締めないという人であれば、暗いトーンのネイビーやボルドーのニットでドレスダウンするのもよいと思います。
グリーンのジャケット・スーツは手を出しにくいと感じられていた方も、トライしてはいかがでしょうか。
今回は以上になります。
コメント、リクエストがあればお気軽にどうぞ。
ではまた次の機会に。
コメント
コメント一覧 (3件)
いつも楽しく拝読しております。
プッシュ通知の追加もありがとうございました。
ブラックウォッチが気になっているのですが、着こなしの際に注意することがあれば教えてほしいです!
フォローありがとうございます。
ブラックウォッチは比較的主張の強い柄ですので、そのほかのアイテムは控えめなものを選ぶと合わせやすいです。
また、ブラックウォッチにも暗いものもあれば、明るいものもあり、トーンに違いがあります。
暗いものの方が比較的取り入れやすいと思います。
余談ですが、数年前にロロピアーナ?(うろ覚えです)から遠目無地に見えるような暗いトーンの控えめなブラックウォッチの生地が販売されていました。
質問をいただいて、今更ですが、よい生地だったなと思い出しました。
色々と比較してトーンにこだわってみるのもおもしろいと思います。
ご回答ありがとうございます。
暗めが良いですよね。ミディアムグレーのスラックスと合わせたりすると使いやすいかなと想像してました。
後から思い出すなんてよっぽど良い雰囲気の生地だったんですね。急ぎではないので、じっくり比較検討してみます!