はじめに
冬が過ぎ、春が近づいてきました。
真夏になるまでのこの時期に活躍するのがブレザーです。
今回はブレザーに合わせるトラウザースをご紹介したいと思います。
※当記事では、無地のブレザーを中心に、無地のネイビーのスポーツコートも含めてご紹介します。
グレー
グレートラウザースは最もベーシックな選択肢です。
日本のジメジメとした夏には、トロピカルやフレスコ(ポーラ)の生地を使ったトラウザースを選ぶと快適に過ごすことができます。
グレースーツをばらして、トラウザースを活用すれば、経済的です。

グレーフランネルトラウザース、
オックスフォードボタンダウンシャツ、
クラブストライプタイ、ホワイトバックス
(中央の紳士)(1937.5 esquire)
ホワイト、ベージュ
ホワイトトラウザースは、スポーツジャケットとトラウザースというセパレートスタイルの原点と言えます。
一つ留意点を挙げれば、ホワイトフランネルトラウザースは、スポーツウェアとして着用するのを除いて、基本的に暖かい気候で着用するものだということです。
この慣習を背景に、現代でもフランネルに限らず、ホワイトトラウザースは暖かい気候に着用されることが多いです。
1900年には、濃紺のサージのスーツ・ジャケットと白いフラノのズボンの組合わせが、ファッショナブルな夏の避暑地の「制服」だった~中略~やはり最初のアメリカ人のスーツ・ジャケットは、1918年のノーフォーク・ジャケット(norfolk jacket)だといわなければならない。白いフラノのズボンと小意気なカンカン帽を組合わせたノーフォーク・ジャケットは、最も通俗的な行楽地でも通用する夏のスタイルとなった。
O. E. Schoeffler, William Gale 著、高山能一訳(1981)『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科事典〈日本語版〉』スタイル社、pp.44-46

ボウタイ、ストローハット、
ホワイトクリケットクロストラウザース、
ホワイトバックス(左の紳士)
(1939.6 esquire)

合わせたチャールズ国王
ホワイトトラウザースはちょっと勇気がいるという人には、ベージュ系のトラウザースがおすすめです。
ベージュ系は白に近いものから黄色みが強いものまで様々です。
チノパンのイメージで気軽に履くことができます。

濃紺のフランネル ブレザー、
白のスカーフ、サンデューンカラーのトラウザース、
ブラウンのリバース カーフシューズ
(左から2番目の紳士)
(1941.6 esquire)

チェックのコットンシャツ、
サンデューントラウザース
(左の紳士)(1942.7 esquire)
ブルー系
ブルー系のトラウザースも定番の一つです。
同系色のネイビーブレザーとは特に相性がよいです。
こちらはジーンズのイメージで履けば、すんなりと着こなすことができると思います。

レーヨンシャツ、赤いフーラードスカーフ、
淡いブルーのトラウザース、茶色のコインローファー
(中央の紳士)(1941.8 esquire)

薄いブルーのトラウザース、
茶色のコインローファー
(1939.7 esquire)
赤系
街中で見かけることは少ないですが、かつて人気のあった赤系のトラウザースもよい選択肢です。
落ち着いた色目を選べば、十分街着として着こなすことができると思います。

フーラードスカーフ、
赤系のトラウザース、
キャンバス地の靴
(1938.7 esquire)

プルオーバーニット、
コーラルカラーのトラウザース、
ブルーのバックスキンシューズ(中央の紳士)。
(1942.2 esquire)
※ナッソーにて暖かい気候の服装
ベージュ系と赤系は相性がよい。
おわりに
今回はブレザーに合わせるトラウザースをご紹介しました。
ブレザーに合わせる基本的な色として、グレー、ホワイト、ベージュ、ブルー、赤系を挙げました。
これからの春夏に着用することを考えると、ライトグレー、ホワイト、明るいブルー、赤系あたりが相応しいです。
今回は以上になります。
感想、リクエストなどお気軽にコメントください。
ではまた次の機会に。
コメント
コメント一覧 (2件)
白いフランネルはスポーツをする時に履いていたというのは有名ですが、なぜあの極厚のフランネルをスポーツの時に履いていたのでしょうか?動きやすいわけでもないし、洗濯もできないので、汗をかくときに最も不向きな生地だと思うのですが。
ヤマガタ様
いつもフォローありがとうございます。
いただいたご質問に回答します。
おっしゃるように動きにくいので、例えば、テニスにおいては1933年、ヘンリー・オースチン選手がウィンブルドン選手権でショートパンツを着用(wimbledon.com参照)し、現在はそれが一般的になっています。
ホワイトフランネルを着用するテニスやクリケットは、元々は上流階級の社交であり、芝生の上がどんなに暑くても、全身白の服装でプレーすることが慣習であり、礼儀でした。
慣習や文化に明確な理由を求めるのは困難ですが、汚れやすい白をきれいに着用するにはお金が掛かるとして富裕層の証であったことや、社交場には汗染みの目立たない白が相応しい等の考え方があったものと推察します。
また、フランネルはスコットランドの農民や労働者の作業服に起源があるとされ、当時からスポーティーなものと認識されていました。
ホワイトフランネルについて、服飾評論家の出石尚三氏の言葉を引用すると、”フランネルのスーツは「暑かった」のです。にもかかわらず、ギャツビーは白のフランネル・スーツを着た。どうしてなのか。それが「上流」であることの習慣だったから。手短に申しますと暑さに耐えることも「上流」の一部だったのです。”
スポーツが競技というより社交であった時代には、動きやすさよりも慣習や礼儀を優先していたということです。
以上になります。
引き続きフォローいただければ幸いです。
装ひ研究所 管理人