はじめに
次の記事の続きです。
⑭ ペニーローファー Penny Loafer
1926年に英国のシューメーカー ワイルドスミス Wildsmith が英国王ジョージ6世のために作った室内用の靴と、1930年代にノルウェー人靴職人 Nils Tveranger が開発したモカシンシューズ(甲がU字に縫製されている靴)がコインローファーの起源と言われています。
1936年に、米国のシューメーカーG.H.バス G.H.BASS がウィージュンズ Weejuns と名付けて発売し、アメリカで大衆化しました。
〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉
以降紹介するローファーは、多少のフォーマル度合いの違いはあれど、 デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は次に示す表と同じです。
黒スムース | 茶スムース | 白 | |
---|---|---|---|
Evening Dress | × | × | × |
Morning Dress | × | × | × |
Business Formal | × | × | × |
Suit(SS/AW) | × *1 | × *1 | ×*1 |
Sport Coat(SS/AW) | ○/× *2 | ○/× *2 | ○/× *2 |
*1 バミューダスーツのような例外もあるが、基本的に組み合わせない。
*2 学生を除き、ウールのコートを羽織るような寒冷な気候には基本的に着用しない。
Business Formal: ネイビー・ミディアムグレー・チャコールグレーで、
無地やシャドーストライプ、ピンストライプ、ペンシルストライプ等柄が控えめな梳毛スーツ
Suit:Business Formal に該当しないスーツ全般。
SSは、主に、シアサッカー、サンクロス等の生地や、リネン、コットン等の素材を使った温暖な気候に合ったスポーティーなスーツ。
AWは、主に、フランネル、ツイード、コーデュロイ等の生地を使った寒冷な気候に合ったカントリーなスーツ。
Sport Coat:上下が共地でない、いわゆるジャケパンスタイル
〈主な既成靴〉
B.H. BASS LOGAN, J.M. WESTON SIGNATURE LOAFER 180
⑮ ホースビットローファー Horsebit Loafer
ホースビットローファーとは、甲にくつわ(馬の口に含ませる金具)を模した金具をあしらったローファーのことです。
1953年にグッチ Gucci が発売した靴がオリジナルです。
黒のホースビットローファーをスーツに合わせる装いは、ウォール街 Wall Street の典型的なビジネスマンのスタイルになりました。
写真のような装いは主にアメリカにおいて見られますが、ローファーをビジネスフォーマルスタイルに取り入れることは伝統的な装いとは異なります。
〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉
コインローファーと同様。
〈主な既成靴〉
Gucci 1953 コレクション ホースビットローファー
⑯ タッセルローファー Tassel Loafer
タッセルローファーは、甲に房飾りをあしらったローファーです。
ハンガリー出身のハリウッド俳優ポール・ルーカス氏 Paul Lukas (1894年生-1971年没)が米国のシューメーカーに作成を依頼し、そのシューメーカーから委託を受けたオールデン Alden が製造した靴がオリジナルで、1957年にブルックスブラザーズがオールデン製のタッセルローファーを販売したことで世に初めて出たと言われることがあります。
しかし、1950年にエスカイア誌がタッセルローファーを掲載していることから、1957年以前に既に世に出ていたことが分かります。
〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉
コインローファーと同様。
〈主な既成靴〉
Alden 664
⑰ ベルジャンローファー Belgian Loafer
ベルジャンローファーは、甲にパイピングやリボン、タッセル等が施され、アンライニングや薄いソール等で仕立てた軽いローファーです。
1956年、ニューヨーク市マンハッタンミッドタウンにてヘンリ・ベンデル氏 Henri Bendel が販売した靴がオリジナルです。
〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉
ご紹介したローファーの中では最もスポーティーですが、表としてはコインローファーと同様です。
〈主な既成靴〉
Belgian Shoes MR. CASUAL, Baudoin&Lange SAGAN CLASSIC LOAFER
④ローファー編は以上です。
次は⑤まとめ編です。
コメント