はじめに
次の記事の続きです。

⑦外羽根プレーントー Derby

〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉
黒スムース | 茶スムース | 起毛 | 白 | |
---|---|---|---|---|
Evening Dress | × | × | × | × |
Morning Dress | × | × | × | × |
Business Formal | ○ | ○ | × | × |
Suit(SS/AW) | × *1/○ | ○ | ○ | ○/× *3 |
Sport Coat(SS/AW) | × *1*2/× *2 | ○ | ○ | ○/× *3*4 |
*1 黒は重たい(重厚な)印象を与え、夏場には基本的に着用しない。
*2 ネイビーブレザーを使った畏まった服装と組み合わせることは可能。
*3 白又は白のコンビ靴は、温暖な気候やスポーツと関連付けられ、冬場には基本的に着用しない。
*4 秋冬であっても、ホワイトトラウザースといったスポーツウェアと組み合わせることは可能。
Business Formal: ネイビー・ミディアムグレー・チャコールグレーで、
無地やシャドーストライプ、ピンストライプ、ペンシルストライプ等柄が控えめな梳毛スーツ
Suit:Business Formal に該当しないスーツ全般。
SSは、主に、シアサッカー、サンクロス等の生地や、リネン、コットン等の素材を使った温暖な気候に合ったスポーティーなスーツ。
AWは、主に、フランネル、ツイード、コーデュロイ等の生地を使った寒冷な気候に合ったカントリーなスーツ。
Sport Coat:上下が共地でない、いわゆるジャケパンスタイル

黒のスムースレザーの外羽根プレーントーを
合わせている(左の紳士)。(1937.3 esquire)

茶のスムースレザーの外羽根プレーントーを
合わせている。(右の紳士)。
ヘリンボーン柄の梳毛スーツに、
黒のスムースレザーの外羽根ストレートチップを
合わせている(左の紳士)。
(1944.2 esquire)
茶のスムースレザーの外羽根プレーントーが
ビジネスフォーマルに合わせられることが分かる。

茶のスムースレザーの
外羽根プレーントーを
合わせている(左の紳士)。
(1943.10 esquire)

グレーフランネルトラウザースに、
茶のスムースレザーの外羽根プレーントーを
合わせている。(1943.3 esquire)

を合わせている(右の紳士)。(1938.5 esquire)

リバースカーフの外羽根プレーントーを合わせている
(中央の紳士)。(1938.4 esquire)
〈主な既成靴〉
Crockett & Jones HIGHBURY, Church’s SHANNON
⑧外羽根キャップトー Cap Toe Derby

/shoes/56610
デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は、外羽根プレーントーと同様です。

外羽根ストレートチップを
合わせている(右の紳士)。(1937.2 esquire)

黒のスムースレザーの外羽根ストレートチップを
合わせている。(1947.4 esquire)

の外羽根ストレートチップ。
(1933.9 esquire)

外羽根ストレートチップを合わせている。
(1935.3 esquire)

外羽根ストレートチップを合わせている。
(1935.11 esquire)
やはり、黒のスムースレザーであれば、
スポーティーなスーツまでが合わせる限度。

外羽根キャップトー(右の紳士)(1937.11 esquire)

外羽根ストレートチップを
合わせている(アイレットは2,3くらいに見える)。
(1943.10 esquire)

外羽根ストレートチップを
合わせている(中央の紳士)。(1934.6 esquire)

茶の起毛素材の外羽根キャップトー。
(1939.5 esquire)

茶のスエードの外羽根キャップトー
(1935.6 esquire)


(1934.7 esquire)
夏の日差しにもよく合う。
〈主な既成靴〉
Alden 56610
⑨外羽根クォーターブローグ Quarter Brogue Derby

shetlandfox/quarter-brogue-210415/
トーキャップのみにパーフォレーション(縫い目に沿った穴飾り)があるものをパンチドキャップトーとしてクォーターブローグと分けることもありますが、ここではそれも含めてクォーターブローグと定義します。
このデザインの靴は、既成靴ではほとんど見かけません。
内羽根式の靴と同様に、基本的に外羽根キャップトーとフォーマル度合いはほとんど変わりません。
デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は外羽根キャップトーと同様です。
⑩外羽根セミブローグ Semi-Brogue Derby, Half Brogue Derby

semi_brogue_derby_black_boxcalf_730
外羽根セミブローグと内羽根セミブローグでは、セミブローグという名称が同じでも、合わせる服装のスタイルはやや異なります。(表で比較すると、茶のスムースレザーの外羽根セミブローグがスポーツコートと合わせられ、内羽根セミブローグでは合わせられないという違いがあります。)
外羽根セミブローグは、外羽根プレーントー・キャップトー・クォーターブローグ等の外羽根靴の仲間、内羽根セミブローグは、内羽根キャップトーの仲間といったイメージです。
一方、後述するウィングチップは、内羽根式よりも外羽根式のほうがスポーティーであることに変わりありませんが、セミブローグの内羽根式と外羽根式ほどの違いはありません。
例えば、 Esquire (1933年にアメリカで創刊された世界初の男性誌)は、同じ茶のセミブローグであっても、内羽根と外羽根で異なるスタイルを推奨しています。
一方、ウィングチップは内羽根と外羽根で同様のスタイルを推奨しています。


2 Brown calf straight tip with center perforation. Hose: Maroon silk and wool mixture in six by three rib with blue and red clocks, maroon, grey and black striped silk. For business.
2 茶のカーフ(内羽根)セミブローグ。合わせるホーズは、青と赤のクロックのある6×3リブの、栗色のシルク・ウール混紡のホーズと、栗色・グレー・黒のストライプのシルクのホーズ。ビジネス※に適している。(解説)※この時代のビジネスウェアにはチェックのスーツやフランネルスーツ、ツイードスーツ等が含まれることに留意。
esquire pp.89.90
3 Brown calf blucher, perforated toe cap, circular top. Hose: Mixed blue lisle, two-toned blue clocks, Brownstone mixture silk and wool with panel rib effect and tan, copper colored clock. For semi-sports.
3 茶のカーフ外羽根セミブローグ。合わせるホーズは、青のツートンカラーのクロックのある青色のライルホーズと、タン・カッパークロックとリブのある茶系のシルク・ウール混紡のホーズ。セミスポーツスタイルに適している。
7 Brown calf wing tip with thick leather sole. Hose: Brownstone and tan plaid wool, maroon mixture wool with black, yellow, blue, red and green diamonds. For university and semi-sports.
7 レザーソールの茶のカーフ(内羽根)ウィングチップ。合わせるホーズは、ブラウンストーンとタンのチェックのウールホーズ、黒・黄・青・赤・緑のひし形の模様のある栗色のウールホーズ。大学生とセミスポーツスタイルに適している。
10 Brown calf brogue with blucher front fringed tongue and thick sole. Hose: Red mixture cable striped wool. For semi-sports and university.
10 キルト付きの茶のカーフ外羽根ウィングチップ。合わせるホーズは、ストライプの赤色のウールホーズ。セミスポーツスタイルと大学生に適している。
デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は、外羽根プレーントー、キャップトー、外羽根クォーターブローグと同様です。

外羽根セミブローグを
合わせている(左の紳士)。
(1938.10 esquire)

外羽根セミブローグを合わせている。
(1934.10 esquire)
⑪モンクストラップシューズ Monk Strap

/shoes/32016
モンクストラップシューズは、ヨーロッパの修道院で履かれていた靴を模して作られたと言われており、モンク Monk (修道士の意)の名もそこから取られました。
モンクストラップシューズには、留め具が2つあるダブルモンクストラップシューズもあります。
ダブルモンクストラップシューズは、1945年、英国のシューメーカー ジョンロブ John Lobb がウィンザー公のために、アビエイターブーツ(飛行士用ブーツ)をヒントに考案したビズポークシューズがオリジナルです。

/shoes/william
〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉
黒スムース | 茶スムース | 起毛 | |
---|---|---|---|
Evening Dress | × | × | × |
Morning Dress | × | × | × |
Business Formal | × | × | × |
Suit(SS/AW) | × *1/○ | ○ | ○ |
Sport Coat(SS/AW) | × *1*2/× *2 | ○ | ○ |
*1 黒は重たい(重厚な)印象を与え、夏場には基本的に着用しない。
*2 ネイビーブレザーを使った畏まった服装と組み合わせることは可能。
Business Formal: ネイビー・ミディアムグレー・チャコールグレーで、
無地やシャドーストライプ、ピンストライプ、ペンシルストライプ等柄が控えめな梳毛スーツ
Suit:Business Formal に該当しないスーツ全般。
SSは、主に、シアサッカー、サンクロス等の生地や、リネン、コットン等の素材を使った温暖な気候に合ったスポーティーなスーツ。
AWは、主に、フランネル、ツイード、コーデュロイ等の生地を使った寒冷な気候に合ったカントリーなスーツ。
Sport Coat:上下が共地でない、いわゆるジャケパンスタイル

サキソニースーツに、
黒のスムースレザーの
シングルモンクストラップシューズ。
(1938.9 esquire)

モンクストラップを合わせている。(1935.5 esquire)

スムースレザーのモンクストラップを
合わせている。(1938.6 esquire)

茶のスムースレザーのモンクストラップを
合わせることを提案している。(1938.5 esquire)

茶のスムースレザーのモンクストラップを
合わせている。(1936.7 esquire)

モンクストラップを
合わせている。(1941.11 esquire)
モンクストラップのスムースレザーは
ツイードとの相性もいい。

茶のスムースレザーのモンクストラップを
合わせている。(1943.4 esquire)

モンクストラップを合わせている(右の紳士)。
(1935.9 esquire)

サキソニースーツに、
リバースカーフの
モンクストラップシューズを
合わせている。
(1939.10 esquire)

モンクストラップを合わせている(右の紳士)。
(1938.4 esquire)もちろん、夏にもぴったり。

フランネルパンツに、リバースカーフの
モンクストラップシューズを合わせている。
(1942.5 esquire)

(1935.4 esquire)
ゴルフシューズのデザインに採用されることも。
〈主な既成靴〉
John Lobb WILLIAM, CHAPEL
②外羽根式・モンクストラップ編は以上です。
次は③ウィングチップ・ノルウィージャン編です。

コメント
コメント一覧 (8件)
管理人様
いつもお世話になっております。
外羽根プレーントーについて質問があります。
スーツに合わせる外羽根プレーントーについてはアイレット数とトーが巷で話題になる時があります。
3アイレットならよりドレッシーでよりスーツに合わせやすい、ボテッとした丸みのあるトーはカジュアル向けであると言われる事があります。
伝統的な着こなしにおける外羽根プレーントーではアイレットやトーの形状について何かルールがありますか?
それとも外羽根プレーントーならどの様な仕様でもビジネスフォーマルからスポーツコートまで使用出来ますか?
kakao.neko様
フォローありがとうございます。
「外羽根プレーントーならどの様な仕様でもビジネスフォーマルからスポーツコートまで使用出来ますか?」については、
ビジネスフォーマルからスポーツコートまで合わせることができるブラウンスムースレザーの外羽根プレーントーを前提としているものと推察しますが、
ブラウンスムースレザーで外羽根プレーントーならば、どのような仕様でもビジネスフォーマルからスポーツコートまで適しているということはございません。
例えば、外羽根プレーントーのカントリーシューズを考えたとき、起毛素材のブラウン、クレープソール、白等の対照的な色のアウトソールステッチ(出し縫いの糸)といった靴がありますが、仮に起毛素材のブラウンをスムースレザーのブラウンに変えたとしてもビジネスフォーマルに適切とは言えません。
また、アイレット数やトーの形状は、それだけでその靴のドレス度合いを決定するものではなく、要素の一つです。
これは他のコメントにて返信した内容の繰り返しとなりますが、靴とその他服装の組み合わせに影響を与えるものにシルエットがあります。
例えば、ウィングチップの項で掲載した JM WESTON 590 トリプルソールダービーは、ソールの分厚さ、ウェルトの張り出し、ラストから、スポーティーなシルエットをしています。
仮に、アイレットを5から3にしたところで、随分とスポーツ寄りな靴に変わりありません。
ブラウンスムースレザーの外羽根プレーントーには、ビジネスフォーマルに適しているものがあり、スーツに適しているものもあり、スポーツコートに適しているものもあるというようにご理解ください。
意匠とアッパーの素材(黒のスムースレザーや起毛素材等)以外の要素によるドレス度合いへの影響はイラストレーションも参考にして、ケースバイケースでご判断いただきたいと思います。
装ひ研究所 管理人
装ひ研究所
管理人様
返信ありがとうございます。
言葉足らずですいません。
文章補完頂きありがとうありがとうございます。
仰る通りブラウンのスムースレザーの外羽根プレーントーの事でした。
シルエット等含めて総合的に判断するという事で承知致しました。
僭越ながらもう一つお伺いしたい事がございます。
例えば下記のようなコンビネーションでは無いサドルオックスフォードは伝統的な着こなしではどの様な立ち位置になりますでしょうか?
https://www.regal.co.jp/brand/regal/themasterregal
店員の方からは外羽根プレーントーの様に扱って欲しいと言われましたが、サドルオックスフォード自体余り見た事が無く、内羽根なのか外羽根なのか自体分からず戸惑いました。
試着したところ、かなり感触が良く、作りも丁寧だったので迷っております。
これも総合的なディティールによって判断すべきなのかもしれませんが、良ければお知恵拝借させて頂きたく存じます。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
kakao.neko様
URLをクリックしましたが、ブランドの総合サイトのような建付けで何足も表示されるのでどれを指しているのかわかりませんでした。
すいません、大変失礼しました。
こっちのURLの方が分かりやすかったです。
https://www.regal.co.jp/shop/pages/articledetail.aspx?ss_article_id=701168
良ければご覧になって頂き、ご教授願えませんでしょうか?
お手数お掛けしますが、重ねてお願い致します。
kakao.neko様
どのような靴を指しているのか理解できました。
ただ、個別の靴に対して、それに適した装いを解説することはこのサイト上ではできません。
丸い、四角い、薄い、厚いといったシルエット等には主観が入ってしまうからです。
当サイトは装いの原理原則を解説し、極力主観を排していることをご理解いただけますと幸いです。
ここからは一般論として、アッパーとサドル部が同系色のスムースレザーのサドルシューズに適した装いについて解説したいと思います。
サドルシューズは基本的にスポーティな靴であり、例えば、そのような靴(アッパーとサドル部が同系色のスムースレザー)はゴルフシューズに用いられてきました。
したがって、ウィングチップやノルウィージャンシューズに読みかえて、靴と服装の正しい組み合わせをご理解いただけたらと思います。
繰り返しになりますが、個別の靴に関しては、意匠とアッパーの素材以外の要素によるドレス度合いへの影響を勘案し、ケースバイケースでご判断いただきたいと思います。
装ひ研究所 管理人
管理人様
何時もお世話になっております。
全体的なシルエット、質感によるとの御教示頂きありがとうございます。
お時間頂き、お手数お掛けしました。
kakao.neko様
ご返信ありがとうございます。
お役に立てたのであれば幸いです。
また気軽にコメントお待ちしております。
装ひ研究所 管理人