スーツ・ジャケットを購入する際に確認してほしいこと➀襟ぐり

目次

はじめに

スーツやジャケットを買う際に鏡の前に立ってどこを見ていますか。
それらをただの仕事着として着用する方は袖丈や着丈といった縦方向のフィッティングを最低限確認することが多いように思います。
ファッション感度の高い方は「ジャケットは肩で着る」といって、それらに加えて肩幅を入念に確認します。
「ジャケットは肩で着る」という言葉は単に肩幅だけを指しているのではありません。
今回はスーツやジャケットを購入する際に確認してほしいことの一つを紹介したいと思います。

襟ぐり

スーツやジャケットを購入する際に確認してほしい点はズバリ「襟ぐり」です。
襟ぐりとは、首に沿う襟のラインを指します。
下図のようにシャツとジャケットの間に隙間が空いてしまっていることを「襟ぐりが合っていない」「襟が抜けている」等といい、これはジャケットが体に合っていないことを意味します。

Clothes and the man

「襟ぐりが合っていない」「襟が抜けている」と、見た目が美しくないといった装飾性が損なわれることもさることながら、機能性も損なわれてしまいます。
ブレイシスを使ってトラウザースを首の近くで吊ると軽く感じ、腕の近くで吊ると重く感じるように、ジャケットの襟を首に密着させてジャケットを首の近くで支えられるようにするとジャケットが軽く感じます。
(いわゆる「ジャケットは肩で着る」という状態。)
相対的に襟ぐりが合っていないジャケットは重く感じ、着心地がよくありません。

しかし、既製品を販売する立場からすると、あまり知られたくないことかもしれません。
既製品はできるだけ多くの人にフィットするよう、平均的な体型に合わせてつくられています。
平均よりもなで肩や猫背であれば、襟は簡単に抜けてしまいます。
襟が抜けていることをきちんと指摘してくれる良心的な販売員ばかりではありませんので、自身で知識をつけ、確認する他ありません。

The fitting should begin at the top. The collar should curve smoothly around the back of the neck while the lapels lie flat on the chest. If the jacket collar stands away from the neck, either the manufacturer was careless in attaching it or the collar needs to be altered to fit your particular physique. Since many fabrics fit and drape differently, this is a common alteration that can be handled by most competent tailors. But if you do authorize the store’s tailor to make the attempt, be certain you try the suit on in the store after the alterations have been completed. If the collar is still not smooth around the neck, refuse to accept the suit. There is nothing that can destroy the clean lines of a well-tailored jacket more than a collar bouncing on the neck. Instead of allowing the jacket to become a natural extension of the body, the bunching collar makes clear its incompatibility.
フィッティングは上から順に始める。襟は首の後ろで滑らかにカーブし、ラペルは胸の上で平らになるようにする。ジャケットの襟が首から離れている場合は、メーカーが襟の取り付けに不注意であったか、又はあなたの体格に合わせて襟を変更する必要がある。多くの生地はフィット感やドレープが異なるため、これは一般的な変更であり、ほとんどの有能なテーラーが対応できる。しかし、お店のテーラーに依頼する場合は、お直しが終わった後、必ずお店で試着すること。襟が首周りに滑らかに沿わない場合は、スーツの受け取りを拒否する。襟が首から離れているほど、仕立ての良いジャケットのきれいなラインを崩すものはない。ジャケットが体の自然な延長になる代わりに、襟抜けはその相性の悪さを明確にする。

Alan Flusser, Clothes and the man, New York: Villard Books, 1985, pp.42,43

おわりに

今回はスーツやジャケットを購入する際に確認してほしいことの一つである、襟ぐりについて紹介しました。
ジャケットを試着して鏡を見て、ジャケットとシャツの間に隙間が空いていれば、それは体に合っていないことの証左です。
首にきれいに沿ったジャケットは見た目が美しいだけでなく、ジャケットが軽く感じられます。

今回は以上になります。
コメント、リクエストがあればお気軽にどうぞ。
ではまた次の機会に。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • この記事の内容に関して1つ質問があります。
    上襟部分の仕立てが一枚襟か二枚襟かの違いは、襟ぐりの密着具合に関係しますか?あるいは、襟抜けのない着心地の良いジャケットには、構造上それ以上に重要な要素がありますか?
    ご回答いただけますと幸いです。

    • ksks様

      いつもフォローありがとうございます。
      いただいたご質問に回答します。

      襟が抜ける主な要因は、体に合っていないことであり、一枚襟か二枚襟かの違いはそれと密接な関係はありません。
      私の経験では、一枚襟の既製服を着用して襟が抜けることもありましたし、長年お世話になっている仕立て屋は生地によって一枚襟か二枚襟か使い分けますがそれによって襟ぐりの密着度合いに差を感じたことはありません。

      また、ほかに構造上の重要な要素(縫製上の重要な要素)として、特別に取り挙げることはありません。
      何故ならば、洋服づくりの流れを大まかに分類すると、採寸→裁断→縫製となり、襟ぐりを合わせるのは採寸が肝になるからです。
      端的に言えば、着用者の体型を読み取り、正しい型紙(設計図)をつくることができるかということです。
      (現在、一般的なマスターパターンのある工場縫製品であれば、正しい補正指示ができるか。)
      設計図が間違っていれば、一枚襟であろうと二枚襟であろうと、襟を適切に首にそわせることはできません。

      以上になります。
      引き続きフォローいただければ幸いです。

      装ひ研究所 管理人

  • 早速のご回答ありがとうございました。一枚襟か二枚襟かは襟抜けと直接には関係せず、むしろ適切な採寸やそれに基づく型紙の補正が、襟抜けのない着心地の良いジャケットには肝要だと理解しました。

    他の方のブログやショップの宣伝では、一枚襟であることで首への吸い付きが良くなり着心地が向上すると謳われていて(中には二枚襟は技術の要らないチープな仕立てとまで言う方もいらっしゃる)、今までそれを鵜呑みにしていたのですが、最近になって本当にそうなのだろうかと思うことがあり今回お尋ねしました。

    この記事に限らず、大変勉強になる内容のブログでいつも興味深く拝見しています。
    改めてこの度はご回答ありがとうございました。

    • ksks様

      ご返信ありがとうございます。
      お役に立てたのであれば幸いです。
      励みになるお言葉もとても嬉しいです。
      またお気軽にお問い合わせください。

      装ひ研究所 管理人

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