はじめに
以前、ジャケットの袖丈の適切な長さについて取り挙げました。
当該記事は多くの読者の方に読んでいただき、袖丈に対する関心の高さが窺えました。
一方で、袖口の幅は語られることが少なく、そこまでの関心が払われていないように感じています。
袖丈がフィッティング(スーツ等を体に合わせること)の観点で重要であることはいうまでもないですが、袖口の幅も同じくらい重要であり、適切な袖口の幅は外見的な魅力をより高めてくれます。
今回は、袖口の適切な幅について解説したいと思います。
袖口の適切な幅
ジャケットの袖口は、シャツのカフスが無理なく収まるだけの幅が必要です。
ただし、ここでいうシャツのカフスはフレンチカフスを指します。
一般に、フレンチカフスはバレルカフス(生地に縫い付けられたボタンで留めるカフス)に比べて幅が大きくなります。
バレルカフスに沿うようにジャケットの袖口の幅を決めてしまうと、フレンチカフスを着用した際、カフスが袖にスムーズに収まらなくなってしまいます。
フレンチカフスを着用した状態で、カフスが無理なく収まることを確認してください。
フレンチカフスを持っていないという方もいると思います。
そういった方に対してバレルカフスを着用しジャケットの袖口の幅を決めるための目安をお伝えしたいと思います。
目安は、シャツのカフスとジャケットの袖の間に、指を縦にして3本程度入ることです。
このくらいの余裕が確保できれば、フレンチカフスを着用してカフスがジャケットの袖に収まらないということはありません。(もちろんフレンチカフスのサイズが適正であることが前提です。)
反対に、それよりも余裕がある場合、大きな袖口が全体のバランスを損なうばかりか、食事の際に袖口を簡単に汚してしまいます。
The jacket’s sleeve should taper to the wrist bone, with a bottom opening measuring around six inches in diameter, or no larger than to frame the shirt’s cuff.
Alan Flusser, Dressing the Man, New York: Harper Collins Publishers, 2002, p.59
ジャケットの袖は手首に向かって細くし、袖口の幅は6インチ(約15cm)前後、またはドレスシャツのカフスを縁取る程度の大きさにする。
〈引用に対する補足〉
現在、日本国内で流通しているジャケットの袖口の幅は、5 1/2インチ(約14cm)前後で、細身のものでは5 1/4インチ(約13.3cm)のものもあり、6インチ(約15cm)となると比較的太いと認識しています。
6インチにこだわらず、”ドレスシャツのカフスを縁取る程度の大きさ”を重視して、自身のシャツのカフスに応じて袖口の幅を決めてください。
シャツ⇒スーツ⇒オーバーコートの順に仕立てる
ジャケットの袖口の幅は、シャツのカフスの幅に応じて決めることを説明しました。
洋服を誂える際の基本的な考え方は、体に近い衣類から順に仕立てるということであり、すなわちシャツ、スーツ、オーバーコートの順に仕立てるということです。
例えば、スーツ⇒シャツの順に購入したところ、袖が窮屈で袖から手を出し入れしにくいということになりかねません。
最近の細身のジャケットであれば、袖口の幅が5 1/4インチ(約13.3cm)程度というのも珍しくありませんので、十分に起こりうることだと思います。
まずは正しいサイズのシャツを誂えることをおすすめします。
おわりに
スーツ・ジャケットを購入する際に確認してほしいこととして、ジャケットの袖口の適切な幅について解説しました。
袖口の適切な幅は、フレンチカフスを着用した状態で、シャツのカフスが無理なく収まる幅です。
フレンチカフスを持っていない方は、バレルカフスを着用した状態で、シャツのカフスとジャケットの袖の間に、指を縦にして3本程度入ることを目安にしてください。
今回は、以上になります。
感想、リクエスト等コメントお待ちしています。
ではまた次の機会に。
P.S.
とうとう100記事目の投稿になりました。
いつもフォローありがとうございます。
コメント