靴とバッグの色を合わせるべきか

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はじめに

革靴とベルトの色を合わせる*という決まりごとは、広く知られています。
*もう少し厳密にいえば、黒の革靴には黒のベルト、茶の革靴には茶のベルトを組み合わせる。それ以外に、特に決まりはない。(例えば、ホワイトバックス白のベルト合わせる必要はない。)
ファッションに興味がある人はさらに一歩踏み込んで、バッグの色も合わせるべきか?と考える人もいます。
今回はその疑問に関して解説しようと思います。

靴とバッグの色を合わせる必要はない

伝統的な考え方に従えば、靴とバッグの色を合わせる必要はありません。
古くは、バッグには茶色のレザーが広く用いられ、黒の靴であっても、茶のバッグが合わせられてきました。

1938.9 esquire
1943.7 esquire
ここまでドレス度が高い装いにも茶のバッグが望ましい。
(1949.3 esquire)
1935.9 esquire
1945.10 esquire
1936.2 esquire
ブリーフケース含む3点の茶のバッグを運んで
もらっている紳士。(1938.6 esquire)
1943.11 esquire
1948.6 esquire
今では見かけなくなったイングリッシュ・キット・バッグ
English Kit Bag (1939.3 esquire)
Sartorial Notes “The briefcase should be brown”

Black shoes for navy blue and charcoal suits? Naturally.

Black belts? Yes, if the shoes are black.

What about the gloves? They are in a terrain vague. Personally, I think (dark) brown gloves are the better choice for business suits, even with black shoes below. Black gloves are too dramatic.

What about accessories like wallets and briefscases: should they follow the colour of the shoes?

No. Wallets and briefcase should be brown always and made up in vegetable tanned leathers, so they can get a charming patina. It might not be one of the infamous dressing rules, but brown wallets and brown briefcases do carve a trace in history.

Take a look at the photo above. Danish barrister Kristian Steglich-Petersen and minister Gustav Rasmussen are showing up in Haag in 1932 to battle against Norway for territories in Eastern Greenland. Both Kristian Steglich-Petersen and Gustav Rasmussen are in striped dark lounge suits, shoes are black, and, briefcases are brown.

Not surprisingly, Norway lost the case.

紺やチャコールのスーツに黒い靴?当然です。
ベルトは黒?はい、靴が黒なら。

手袋は?それは曖昧になっています。個人的には、ビジネススーツには、靴が黒でも、(濃い)茶色の手袋の方がいいと思います。黒い手袋はドラマチックすぎます。

財布やブリーフケース等のアクセサリーは、靴の色に合わせるべきですか?いいえ。財布やブリーフケースは常に茶色であるべきであり、ベジタブルタンニンなめしでつくられているため、魅力的な経年変化が得られます。有名な着こなしのルールではないかもしれませんが、茶色の財布と茶色のブリーフケースは歴史に名を刻んでいます。

上の写真を見てください。デンマークの弁護士クリスチャン・ステグリッヒ・ピーターセンと大臣グスタフ・ラスムッセンが、1932年に東グリーンランドの領土をめぐってノルウェーと戦うためにハーグに姿を現したところです。クリスチャン・ステグリッヒ・ピーターセンとグスタフ・ラスムッセンは共に、ストライプのダークラウンジスーツ、靴は黒、そしてブリーフケースは茶色です。

当然のことながら、ノルウェーはこの裁判で敗訴しました。

Sartorial Notes “The briefcase should be brown” ブリーフケースは茶色であるべき
https://sartorialnotes.com/2013/05/09/the-briefcase-must-be-brown/

レザーグローブについては他の記事で解説していますが、レザーグローブも靴やベルトの色に合わせる必要はありません。
レザーグローブもまたレザーバッグと同様に、黒色はそれほど一般的ではありません。

おわりに

今回は、靴とバッグの色を合わせる必要があるか?ということを解説しました。
結論は、靴とバッグの色を合わせる必要はなく、レザーバッグであれば、茶色が望ましいです。

歴史的背景を知らなくても、例えば、忙しい朝に、わざわざバッグの中身をすべて取り出して、靴に合わせようと思う人はほとんどいないのではないでしょうか。
はじめから、茶のバッグを購入すれば問題ありません。

今回は以上になります。
コメント、リクエストがあればお気軽にどうぞ。
ではまた次の機会に。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • いつも拝見しております。
    今まで靴、バッグ、ベルト等は全て色を統一するべきだと思い神経質になっていましたが、今回の記事で解決しました。ありがとうございます。次はブラウンのレザーブリーフケースを購入します。
    質問ですが、財布や名刺入れ等もブラウンのモノを選ぶべきでしょうか?
    またブラウン系の色も様々ですが、どのような色がビジネスに適しているでしょうか?(具体的なカラーで教えていただけると助かります。)
    ご回答の程、何卒よろしくお願いいたします。

    • フォローありがとうございます。

      古典的な観点から言えば、黒、茶(ダークブラウン、ライトブラウン)の財布であれば間違いありません。

      フォーマル、セミフォーマルにお使いでしたら、黒の小銭入れのない薄い財布が望ましいですが、それ以外でしたら、黒、茶のいずれでも構いません。
      名刺入れも同様と考えていただければと思います。

  • 素晴らしい記事ですね。アーカイブなどの裏打ちを画像で拝見出来る事が貴重で、なによりもコーディネートの想像が膨らみました。

    とても感謝

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