はじめに
ネクタイのストライプ柄には右上がりと右下がりがあり、右下がりのネクタイを見て、「米国式のネクタイだ」「アメリカントラッドのアイテムだ」とストライプの向きだけで断定することがあります。
右下がりのネクタイはすべて米国に関わりのあるネクタイなのでしょうか。右下がりのネクタイには英国に関連するネクタイはないのでしょうか。
今回は、これらの疑問に答えたいと思います。
「右下がりのネクタイならば、米国式のネクタイである」は偽
右上がりのレジメンタルタイをブルックスブラザーズが右下がりにして販売したとして、今日では右下がりのネクタイは米国にしばしば関連付けられます。
The History
https://www.brooksbrothers.com/argyll-%26-sutherland-rep-tie/MA03178.html?dwvar_MA03178_Color=GREN&quantity=1
Classic rep ties date back to the early 20th century when British military donned their regimental ties with left-to-right diagonal stripes to represent heart to sword, nodding to their fighting roots. The style quickly caught on with civilians in the boarding school and social club set. In 1902 Brooks Brothers Americanized the style by switching the direction of the stripes.
古典的なレップタイは、20世紀初頭、心臓から剣に向かって伸びるように着用者から見て左から右方向へ斜めのストライプ柄となっているネクタイを英国軍が着用したことに遡る。このスタイルはすぐにボーディングスクールや社交クラブ等、民間人の間で流行した。1902年、ブルックスブラザーズはストライプの向きを変えることで、このスタイルをアメリカナイズした。
ブルックスブラザーズは、上記例のように右上がりのネクタイを下敷きに、右下がりのネクタイを考案し販売してきました。
右下がりのネクタイはブルックスブラザーズのマスターピースといえるもので、アメリカンスタイルと関連付けられるのも頷けます。
しかし、「右下がりのネクタイならば、米国式(米国に関連していることを示す表現形式)のネクタイである」というのは正しくありません。
右下がりのネクタイの中には、Royal Air Force(英空軍)、Royal Marines(英海兵隊)、The Royal Flying Corps(英空軍の前身)、1st The Royal Dragoons, 5th Royal Inniskilling Dragoon Guards, 10th Royal Hussars, 16/5th Queen’s Royal Lancers, 17/21st Lancers, Portora Royal School(ポートラ王立学校、オスカー・ワイルドの母校) 等、英国の連隊やスクールに属することを示すネクタイが複数あります。
おわりに
今回は、右下がりのネクタイが必ずしも米国式(米国に関連していることを示す表現形式)のネクタイでないことを解説しました。
Royal Air Force(英空軍)、Royal Marines(英海兵隊)のレジメンタルタイは右下がりです。
右下がりのネクタイを見てアメリカンスタイルを連想することは否定しませんが、右下がりのネクタイを米国式と断定することは間違いであり、右下がりのネクタイが英国調のスーツに合わないといったことはありません。
今回は、以上になります。
ご感想、ご質問、リクエスト等お気軽にコメントください。
ではまた次の機会に。
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