はじめに
シルクのネクタイはオールシーズン着用できるものとして、同じネクタイを一年中着用する人や、季節感を意識して、春夏はリネン、秋冬はウールのネクタイを着用する人もいます。
ただし、リネンやウールといった素材はシルクに比べてスポーティーな素材であり、場面によっては相応しくないこともあります。
(これについてはウールのネクタイの正しい合わせ方で解説いたしました。)
スポーティーなスーツでなければ、シルクのネクタイを合わせることが基本であり、シルクのネクタイで季節感を出すことが望ましいです。
今回は、春夏に適したネクタイをご紹介し、解説を通じて、シルクのネクタイで季節感を出すことができることをご理解いただけたらと思います。
春夏に着用するネクタイ
明るい色のネクタイ
明るい色はそれだけで人々に涼しげな印象を与えます。
下図の上の方にある色です。

ただし、ビジネスで着用するような濃紺やミディアムグレー~チャコールグレーのスーツに、上図のペール、ライト、ライトグレイッシュのネクタイを合わせることは少々難易度が高いです。
このような場合、ネイビーやグレーといったベーシックな色をベースに、明るい色を柄に用いるというのがおすすめです。
面積を幾分か絞れば、ビビッドな色でも違和感なく合わせることができ、大胆な色柄は春夏っぽさを与えます。

色のトーンの違いは、季節感の違いを生み出します。
下に示すローシルクのネクタイは、ネップ(繊維が絡み合ってできた節)が生地の表面に浮いた表情はほとんど同じですが、一方は春夏向けで、もう一方は秋冬向けです。

https://www.mens-ex.jp/archives/1190792/5

https://www.beams.co.jp/blog/bhk/17594/
プリントタイ
ネクタイには、柄を織りで表現したジャガードタイと、柄をプリントで表現したプリントタイがあります。




シルクのプリントタイには、薄手のシルクを用い、春夏に適したものが多いです。
特に、裏地のない軽いプリントタイは夏場の薄手のジャケットと見事に調和します。
(近年、魅力的なプリントタイが減っているのが残念です。)

グレナディンタイ


レノ織り(絡み織り)*のシルクでできたグレナディンタイは、ざっくりとした質感で、透け感があるため、春夏の定番のネクタイです。
*2本の経糸をよりながら横糸と織り込んだ目の粗い織物。
立体感のあるその見た目は、秋冬の分厚いスポーツジャケットに合わせても見劣りすることはなく、秋冬にも着用することができるネクタイです。
これはちょうどスエードの靴(秋冬と思われがちだが、春夏っぽさも兼ね備えている)のようなものです。
おわりに
春夏に適したネクタイを紹介しました。
その特徴を秋冬に適したネクタイの特徴と対比して表にまとめると、次の通りです。
春夏 | 秋冬 | |
---|---|---|
色の明るさ | 明るい | 暗い |
柄の表現方法 | プリント及び織り | 織り |
素材 | シルク、リネン、コットン | シルク、ウール |
リネンのネクタイでなくても、明るいシルクのネクタイやシルクのプリントタイを使って春夏らしさを演出することができます。
上表で示した特徴は、それだけで春夏か秋冬かを決定づけるものではなく、春夏らしさ、秋冬らしさを醸し出す要素と考えてください。
例えば、秋冬に適した、ウール混紡のプリントタイもあります。


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