はじめに
ポケットチーフは元々スーツを構成するマストアイテムといえる存在でしたが、ウエストコート(ベスト)を省いたツーピースが一般化したように、服装の簡略化の流れの中で、ポケットチーフもまた身に着けられることが減りました。
クールビズが定着した現在では、一年の半分をノーネクタイで過ごす人も増えているのではないでしょうか。
ノーネクタイといっても、必要に応じてジャケットの着用を求められることから、ネクタイを忘れてきたような、どこか冴えない印象を受けます。
そこで、ネクタイの代わりにポケットチーフで胸元の寂しさを埋めるのも1つの選択肢だと思います。
ポケットチーフはフォーマルシーンに限定されるものではなく、年間を通して様々な場面で身に着けることができるものです。
今回は礼装を除くポケットチーフの選び方をご紹介したいと思います。
ネクタイと一致させない
ネクタイと、そのネクタイと同じ生地で作ったポケットチーフがまとめて販売されていることがありますが、それらを一緒に着用しないでください。
ネクタイとポケットチーフを無地にする場合、色を変え、ネクタイとポケットチーフの柄を合わせる場合、柄の大きさや柄同士の間隔、色等を変えてください。
ネクタイとポケットチーフを一致させると、不自然で野暮ったく見えてしまいます。
Wearing a match handkerchief and necktie is a sure sign of unsophisticated dresser.
ポケットチーフとネクタイを一致させているのは垢抜けない証拠である。
Alan Flusser, Dressing the Man, New York: Harper Collins Publishers, 2002, p.217.
厳密なルールは「ポケットチーフとネクタイを一致させない」という1つのみです。
しかし、好みの問題と突き放されてしまえば、途端にポケットチーフを選ぶことが難しくなってしまいます。
これ以降はポケットチーフを選ぶ上で助けとなるような指針を提供したいと思います。
色を拾う
ポケットチーフが服装全体と調和するよう、ポケットチーフの他に身に着けているものとポケットチーフの色を合わせるという方法があります。
ネクタイやシャツ、靴下から色を拾うことは代表的な例です。
このように説明すると、ネクタイと一致させないことと矛盾しているように感じるかもしれません。
ネクタイとポケットチーフを合わせることを次のようなイラストから理解してください。
白無地のポケットチーフはどんな服装にも合わせることができる
白無地のポケットチーフは服装を選びません。
特にダークスーツ(ビジネススーツ)に対しては、白無地のリネンのポケットチーフをTVフォールドで挿すことが一般的です。
これからポケットチーフを差してみようと考えている方には、白無地のポケットチーフをおすすめします。
TVフォールド
ポケットチーフが胸ポケットに対して平行となるように挿す方法。
素材
リネンやシルクのポケットチーフは一年中着用することができ、ウール100%のポケットチーフ等、起毛感のある暖かみを感じさせるポケットチーフは、秋冬に向いています。
ネクタイやジャケットと異なる素材のポケットチーフがよいコントラストを生むという考え方もあります。
服装全体を調和させながらも、色・柄・素材に適度な差をつけることはコーディネートの基本的な考え方です。
As a general rule of thumb, a tie’s silken luster calls for a matte pocket square like linen or cotton. Conversely, a wool or linen necktie with a dulled surface requires the upbeat luster of a silk foulard.
経験則では、光沢のあるシルクのネクタイにはリネンやコットンのようなマットな質感のポケットチーフが、ウールやリネンのネクタイにはシルクのポケットチーフが相応しい。
Alan Flusser, Dressing the Man, New York: Harper Collins Publishers, 2002, p.216.
白無地のリネンのポケットチーフを既に持っている方にはウールが混紡されたポケットチーフをおすすめします。
ウール混紡のポケットチーフは、シルクサテンほど華やか過ぎず、自然に見えます。
シルク100%のようにポケットの奥に潜ることがないことや、皺になりにくいことも実用的でよいです。
今回は以上になります。
コメント、リクエストがあればお気軽にどうぞ。
ではまた次の機会に。
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