はじめに
少しずつ暖かい日が増え、ローファーの季節がやってきました。
今回は、手持ちの靴からエドワードグリーンのホースビットローファー ミルフィールドのご紹介です。
horsebit loafer

ミルフィールドはホースビットローファーというスタイルになります。
ホースビットローファーは、1953年にグッチが発表したスタイルであり、甲にくつわ(馬の口に含ませる金具)を模した金具をあしらったローファーのことです。

https://www.gucci.com/us/en/pr/men/shoes-for-men/
moccasins-and-loafers-for-men/
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https://equinewellnessmagazine.com/
horses-bit-noseband-oral-health/
Skin stitch

ミルフィールドのつま先の線は恐らく* Dover と同じスキンステッチであると考えられます。
* リバーススキンステッチという見た目がほとんど同じものもあるため。
スキンステッチとは、下図のように、革の内部を縫う製法であり、表から糸が見えません。
これを行おうとすると、人の手で縫い通す必要があります。

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Pie crust


スエードだと分かりづらいですが、ポコポコと凹凸があるモカが特徴的です。
これをパイクラストと言い、パイ生地の縁のように波打った形状からそのように呼ばれます。
日本では、ライトアングルモカという名称が一般的です。
下図のように、一方の断面をすくって縫い留めます。
こちらも人の手で縫い通す必要があります。

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R1 sole

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こちらの靴にはR1ソールと呼ばれるエドワードグリーン独自のラバーソールが使われています。
歩行時には、レザーソールやダイナイトソールのようなコツコツとした音はなく、歩行音を楽しみたい方には向いていないかもしれません。

右:ダイナイトソール 約5mm
よい点を挙げるとすると、薄さです。
ローファーは moccasin slipper とも言いますが、やはりオーセンティックさにこだわるなら、ローファーのソールは薄いものが望ましいです。
上の写真のように、ダイナイトソールよりも薄いです。
また、主観にはなりますが、着用している割に、あまり削れません。
Unlined

こちらの靴はアンライニングです。
ただし、踵やトーには芯材が入っており、それほど歩きにくくありません。
それほど歩きにくくないとやや後ろ向きに表現したのは、エドワードグリーンのいわゆる土踏まずを持ち上げるような履き心地はなく、全体としては心許ないからです。
アンライニングは軽快で夏らしいという声もありますが、外観からアンライニングだと明らかに分かるとは言えないことから、アンライニングの優位性を懐疑的に受けとめています。
61 last

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内振れのあるラストであり、歩いていて親指側に空間があるのが分かります。
底面の形状は J.M. WESTON の11ラストに似ています。
ノーズが短く、丸みのある形はローファーにぴったりだと思います。

espresso suede
この靴は、エドワードグリーンでポピュラーな mocca suede ではなく、 espresso suede です。
公式によれば、espresso suede は mocca suede よりも暗いとのことですが、現物を比較すると、個体差なのか、あまり差がありません。

右:espresso suede
おわりに
今回はエドワードグリーンのホースビットローファー ミルフィールドをご紹介しました。
ミルフィールドは、スキンステッチとパイクラストといった手間のかかる仕様、オーセンティックな薄いソール、ローファーに向いた丸みのあるラストが特徴です。
明るい茶のスエードは靴単体で見ると魅力的ですが、案外合わせづらいため、暗い茶のスエードはよい選択肢です。
今回は、以上になります。
ご感想、ご質問、リクエスト等お気軽にコメントください。
ではまた次の機会に。
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