はじめに
時々、「ジャケットと何が違うの?」と言われるブレザーについて本日は話してみようと思います。
ブレザーの歴史
「ブレザーとは何か?」を考えるために、ブレザーの歴史を振り返ってみたいと思います。
ブレザーの歴史には諸説ありますが、主な説が2つあります。
レディー・マーガレット・ボートクラブ
1つは、1825年創設の英国ケンブリッジ大学セントジョンズ・カレッジのボートクラブ「レディー・マーガレット・ボートクラブ Lady Margaret Boat Club 」の赤いユニフォームに由来する説です。
真っ赤なジャケットが燃える炎(Blaze)のように見えたことから、ブレザーと名付けられたと言われています。
The term ‘blazer’ originated with the red ‘blazers’ of the Lady Margaret Boat Club. The Lady Margaret club jackets were termed blazers because of their distinctive bright red cloth. The first known recording of the word is found in the in London Daily News (22 August 1889), when a writer to the commented that “In your article of to-day‥you speak of ‘a striped red and black blazer’, ‘the blazer’, also of ‘the pale toned’ ones.‥
https://www.ladymargaretboatclub.org/history
「ブレザー」という言葉は、レディ・マーガレット・ボートクラブの赤い「ブレザー」に由来している。レディ・マーガレットクラブのジャケットは、その特徴的な真っ赤な生地からブレザーと呼ばれるようになった。この言葉の最初の記録は、ロンドン・デイリー・ニュース(1889年8月22日付)に、「今日の記事で、(中略)「赤と黒のストライプのブレザー」、「ブレザー」、そして「淡い色の」ものについて述べていますね。(後略)」と掲載されている。
レディ・マーガレット・ボートクラブのジャケットは、シングルブレステッドであったことから、シングルのブレザーのルーツと言われています。
ストライプやパイピング、胸のエンブレムは特定の団体への所属を表しています。
英国の軍艦ブレザー号
もう1つは、1837年、ヴィクトリア女王が英国の軍艦ブレザー号を閲兵した際に、艦長が乗組員に着せたネイビーの制服に由来する説です。
こちらは、ダブルブレステッドのジャケットであったことから、ダブルのブレザーのルーツと言われています。
いずれの説も、ブレザーは、制服に起源を求めることができ、特定の団体への所属を示すような、金ボタン、胸のエンブレム、パイピング、ストライプ等の特徴をもつジャケットと定義することができます。
8つボタンのブレザー
英国海軍由来の、8つボタンのダブルブレザーは、チャールズ皇太子、ウィンザー公、フィリップ王配らに着用されてきました。
正統派にこだわる方は8つボタンという選択肢もおすすめです。
このように、チャールズ皇太子、ウィンザー公、フィリップ王配と比べると、同じ8つボタンでもボタンの配列が異なります。
ウィンザー公は4つのボタンが直線に並び、チャールズ皇太子は3つ掛け、フィリップ王配は2つ掛けとなっています。
ちなみに、私が所有しているネイビーブレザーは、8つボタン3つ掛けのチャールズ皇太子のスタイルのものです。
おわりに
数年前から、伊勢丹やビームス等の販売員の方がネイビーのダブルブレザーを着用しているのをよく見かけます。
先日行った伊勢丹メンズ館のオーダーメイド売場には、ネイビーの8つボタンダブルブレザーがディスプレイされていました。
ブレザーは、大人の男性にとって、1着持っていて損はないアイテムだと思います。
コメント
コメント一覧 (5件)
初めまして。ブレザー、いいですよね。1つ気になったのですが、フィリップ殿下のブレザーは1つ掛けタイプに見えるのですが、いかがでしょうか。例えば、以下リンク先の動画で同じデザインの8ボタンを着用されている方は、50秒あたりで「8ボタン1つ掛け」とおっしゃっていました。
https://www.youtube.com/watch?v=WlSyGEglXx8&t=53s
https://therakejapan.com/special/a-lifetime-in-style/
ほかにも調べてみたのですが、一番下は留めていないようです。
https://www.beams.co.jp/blog/hmy/78675/
Rockman様
コメントいただきましてありがとうございます。
世の中で使われている、いわゆる「○ボタン△つ掛け」という表現は、
「○個ボタンがついていて、△つのボタンを留めることが”できる”」
ということを表現しております。
したがって、8つボタン2つ掛けは、2つ掛けても良いし、上から3つ目のボタンだけ掛けても良いということで、
フィリップ殿下は後者がお好みのようです。
(ボタンの掛け方のルールは別の記事でご紹介しております。)
ちなみに、6つボタン1つ掛けと言った場合には、真ん中のボタンを掛けられないデザインのものを指します。
(8つボタン1つ掛けは中々ないので、6つボタン1つ掛けでご説明。)
ご参考:
https://www.micheleandshinitaly.com/l/%E6%8B%98%E3%82%8A%E3%81%AE6%E3%81%A4%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3%EF%BC%91%E3%81%A4%E6%8E%9B%E3%81%91/
ご理解いただけましたでしょうか。
疑問点ございましたら、お気軽にコメントいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
補足です。
https://egret-suit.com/blog/column/20201101
https://fashion-research-institute.com/button-rule/
よろしくお願いいたします。
明快な解説、ありがとうございました。よく分かりました。
また更新される日を楽しみにしております。
よかったです。
コメントもとても嬉しいです。
引き続き応援よろしくお願いいたします。