靴と服装の正しい組み合わせ②外羽根式・モンクストラップ編

⑦外羽根プレーントー Derby

https://www.british-made.jp/c/brands/churchs/gd92

〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉

黒スムース茶スムース起毛
Evening Dress××××
Morning Dress ××××
Business Formal××
Suit(SS/AW)× *1/○○/× *3
Sport Coat(SS/AW)× *1*2/× *2○/× *3*4
外羽根プレーントー

*1 黒は重たい(重厚な)印象を与え、夏場には基本的に着用しない。
*2 ネイビーブレザーを使った畏まった服装と組み合わせることは可能。
*3 白または白のコンビ靴は、温暖な気候やスポーツと関連付けられ、冬場には基本的に着用しない。
*4 秋冬であっても、ホワイトトラウザースといったスポーツウェアと組み合わせることは可能。

Business Formal: ネイビー・ミディアムグレー・チャコールグレーで、
無地やシャドーストライプ、ピンストライプ、ペンシルストライプ等柄が控えめな梳毛スーツ

Suit:Business Formal に該当しないスーツ全般。
SSは、主に、シアサッカー、サンクロス等の生地や、リネン、コットン等の素材を使った温暖な気候に合ったスポーティーなスーツ。
AWは、主に、フランネル、ツイード、コーデュロイ等の生地を使った寒冷な気候に合ったカントリーなスーツ。

Sport Coat:上下が共地でない、いわゆるジャケパンスタイル
ミディアムグレーに赤のチェックスーツに、
黒のスムースレザーの外羽根プレーントーを
合わせている(左の紳士)。(1937.3 esquire)
ネイビーのシャークスキンスーツに、
茶のスムースレザーの外羽根プレーントーを
合わせている。(右の紳士)。
ヘリンボーン柄の梳毛スーツに、
黒のスムースレザーの外羽根ストレートチップを
合わせている(左の紳士)。
(1944.2 esquire)
茶のスムースレザーの外羽根プレーントーが
ビジネスフォーマルに合わせられることが分かる。
コーデュロイのスーツに、
茶のスムースレザーの
外羽根プレーントーを
合わせている(左の紳士)。
(1943.10 esquire)
シェットランドジャケット、
グレーフランネルトラウザースに、
茶のスムースレザーの外羽根プレーントーを
合わせている。(1943.3 esquire)
シェットランドスーツに、起毛素材の外羽根プレーントー
を合わせている(右の紳士)。(1938.5 esquire)
ニットジャケット、グレーフランネルトラウザースに、
リバースカーフの外羽根プレーントーを合わせている
(中央の紳士)。(1938.4 esquire)

〈主な既成靴〉
 Crockett & Jones HIGHBURY, Church’s SHANNON

⑧外羽根キャップトー Cap Toe Derby

https://www.mens-ex.jp
/shoes/56610

デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は、外羽根プレーントーと同様です。

グレーの梳毛スーツに、黒のスムースレザーの
外羽根ストレートチップを
合わせている(右の紳士)。(1937.2 esquire)
ネイビーにブルーのストライプの梳毛スーツに、
黒のスムースレザーの外羽根ストレートチップを
合わせている。(1947.4 esquire)
ストライプのスーツに、黒のスムースレザー
の外羽根ストレートチップ。
(1933.9 esquire)
チェックの梳毛スーツに、黒のスムースレザーの
外羽根ストレートチップを合わせている。
(1935.3 esquire)
ブラウンのスーツに、黒のスムースレザーの
外羽根ストレートチップを合わせている。
(1935.11 esquire)
やはり、黒のスムースレザーであれば、
スポーティーなスーツまでが合わせる限度。
梳毛スーツに、茶のスムースレザーの
外羽根キャップトー(右の紳士)(1937.11 esquire)
シャークスキンのスーツに、茶のスムースレザーの
外羽根ストレートチップを
合わせている(アイレットは2,3くらいに見える)。
(1943.10 esquire)
グレンチェックのスーツに、茶のスムースレザーの
外羽根ストレートチップを
合わせている(中央の紳士)。(1934.6 esquire)
ブルーのフランネルスーツに、
茶の起毛素材の外羽根キャップトー。
(1939.5 esquire)
チョークストライプのフランネルスーツに、
茶のスエードの外羽根キャップトー
(1935.6 esquire)
茶の起毛素材の外羽根キャップトー
茶のバックスキンの外羽根キャップトー。
(1934.7 esquire)
夏の日差しにもよく合う。

〈主な既成靴〉
Alden 56610

⑨外羽根クォーターブローグ Quarter Brogue Derby

https://base.regal.co.jp/blog/
shetlandfox/quarter-brogue-210415/

トーキャップのみにパーフォレーション(縫い目に沿った穴飾り)があるものをパンチドキャップトーとしてクォーターブローグと分けることもありますが、ここではそれも含めてクォーターブローグと定義します。
このデザインの靴は、既成靴ではほとんど見かけません。

内羽根式の靴と同様に、基本的に外羽根キャップトーとフォーマル度合いはほとんど変わりません。
デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は外羽根キャップトーと同様です。

⑩外羽根セミブローグ Semi-Brogue Derby, Half Brogue Derby

https://www.carminashoemaker.com/
semi_brogue_derby_black_boxcalf_730

外羽根セミブローグと内羽根セミブローグでは、セミブローグという名称が同じでも、合わせる服装のスタイルは異なります。
外羽根セミブローグは、外羽根プレーントー・キャップトー・クォーターブローグ等の外羽根靴の仲間、内羽根セミブローグは、内羽根キャップトーの仲間といったイメージです。
一方、後述するウィングチップは、内羽根式よりも外羽根式のほうがスポーティーであることに変わりありませんが、セミブローグの内羽根式と外羽根式ほどの違いはありません。

例えば、 Esquire (1933年にアメリカで創刊された世界初の男性誌)は、同じ茶のセミブローグであっても、内羽根と外羽根で異なるスタイルを推奨しています。
一方、ウィングチップは内羽根と外羽根で同様のスタイルを推奨しています。

2 Brown calf straight tip with center perforation. Hose: Maroon silk and wool mixture in six by three rib with blue and red clocks, maroon, grey and black striped silk. For business.
2 茶のカーフ(内羽根)セミブローグ。合わせるホーズは、青と赤のクロックのある6×3リブの、栗色のシルク・ウール混紡のホーズと、栗色・グレー・黒のストライプのシルクのホーズ。ビジネス※に適している。

(解説)※この時代のビジネスウェアにはチェックのスーツやフランネルスーツ、ツイードスーツ等が含まれることに留意。

3 Brown calf blucher, perforated toe cap, circular top. Hose: Mixed blue lisle, two-toned blue clocks, Brownstone mixture silk and wool with panel rib effect and tan, copper colored clock. For semi-sports.
3 茶のカーフ外羽根セミブローグ。合わせるホーズは、青のツートンカラーのクロックのある青色のライルホーズと、タン・カッパークロックとリブのある茶系のシルク・ウール混紡のホーズ。セミスポーツスタイルに適している。

7 Brown calf wing tip with thick leather sole. Hose: Brownstone and tan plaid wool, maroon mixture wool with black, yellow, blue, red and green diamonds. For university and semi-sports.
7 レザーソールの茶のカーフ(内羽根)ウィングチップ。合わせるホーズは、ブラウンストーンとタンのチェックのウールホーズ、黒・黄・青・赤・緑のひし形の模様のある栗色のウールホーズ。大学生とセミスポーツスタイルに適している。

10 Brown calf brogue with blucher front fringed tongue and thick sole. Hose: Red mixture cable striped wool. For semi-sports and university.
10 キルト付きの茶のカーフ外羽根ウィングチップ。合わせるホーズは、ストライプの赤色のウールホーズ。セミスポーツスタイルと大学生に適している。

esquire pp.89.90



デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装は、外羽根プレーントー、キャップトー、外羽根クォーターブローグと同様です。

クリアカットの梳毛スーツに、
外羽根セミブローグを
合わせている(左の紳士)。
(1938.10 esquire)
ヘリンボーンスーツに、黒のスムースレザーの
外羽根セミブローグを合わせている。
(1934.10 esquire)

⑪モンクストラップシューズ Monk Strap

https://www.mens-ex.jp
/shoes/32016

モンクストラップシューズは、ヨーロッパの修道院で履かれていた靴を模して作られたと言われており、モンク Monk (修道士の意)の名もそこから取られました。

モンクストラップシューズには、留め具が2つあるダブルモンクストラップシューズもあります。
ダブルモンクストラップシューズは、1945年、英国のシューメーカー ジョンロブ John Lobb がウィンザー公のために、アビエイターブーツ(飛行士用ブーツ)をヒントに考案したビズポークシューズがオリジナルです。

https://www.mens-ex.jp
/shoes/william


〈デザインとレザーの組み合わせの代表例とそれに適した場面、服装〉

黒スムース茶スムース起毛
Evening Dress×××
Morning Dress ×××
Business Formal×××
Suit(SS/AW)× *1/○
Sport Coat(SS/AW)× *1*2/× *2
モンクストラップシューズ

*1 黒は重たい(重厚な)印象を与え、夏場には基本的に着用しない。
*2 ネイビーブレザーを使った畏まった服装と組み合わせることは可能。

Business Formal: ネイビー・ミディアムグレー・チャコールグレーで、
無地やシャドーストライプ、ピンストライプ、ペンシルストライプ等柄が控えめな梳毛スーツ

Suit:Business Formal に該当しないスーツ全般。
SSは、主に、シアサッカー、サンクロス等の生地や、リネン、コットン等の素材を使った温暖な気候に合ったスポーティーなスーツ。
AWは、主に、フランネル、ツイード、コーデュロイ等の生地を使った寒冷な気候に合ったカントリーなスーツ。

Sport Coat:上下が共地でない、いわゆるジャケパンスタイル
グレー地にピンチェックと赤のオーバーペンの
サキソニースーツに、
黒のスムースレザーの
シングルモンクストラップシューズ。
(1938.9 esquire)
ツイードスーツに、黒のスムースレザーの
モンクストラップを合わせている。(1935.5 esquire)
チェックのトロピカル梳毛スーツに、ダークブラウンの
スムースレザーのモンクストラップを
合わせている。(1938.6 esquire)
ブルーストライプのフランネルスーツに、
茶のスムースレザーのモンクストラップを
合わせることを提案している。(1938.5 esquire)
グレー地に赤のストライプのフランネルスーツに、
茶のスムースレザーのモンクストラップを
合わせている。(1936.7 esquire)
ツイードスーツに茶のスムースレザーの
モンクストラップを
合わせている。(1941.11 esquire)
モンクストラップのスムースレザーは
ツイードとの相性もいい。
ツイードのジャケットとスラックスに、
茶のスムースレザーのモンクストラップを
合わせている。(1943.4 esquire)
ガンクラブチェックのスーツに、リバースカーフの
モンクストラップを合わせている(右の紳士)。
(1935.9 esquire)
ブルーのウィンドペン柄の
サキソニースーツに、
リバースカーフの
モンクストラップシューズを
合わせている。
(1939.10 esquire)
トロピカル梳毛スーツに、茶のリバースカーフの
モンクストラップを合わせている。
(1938.4 esquire)もちろん、夏にもぴったり。
カシミアのチェックジャケット、
フランネルパンツに、リバースカーフの
モンクストラップシューズを合わせている。
(1942.5 esquire)
茶のバックスキンのモンクストラップシューズ。
(1935.4 esquire)
ゴルフシューズのデザインに採用されることも。

〈主な既成靴〉
John Lobb WILLIAM, CHAPEL

よかったらシェアしてね!

コメント

コメント一覧 (8件)

  • 管理人様
    いつもお世話になっております。
    外羽根プレーントーについて質問があります。
    スーツに合わせる外羽根プレーントーについてはアイレット数とトーが巷で話題になる時があります。
    3アイレットならよりドレッシーでよりスーツに合わせやすい、ボテッとした丸みのあるトーはカジュアル向けであると言われる事があります。
    伝統的な着こなしにおける外羽根プレーントーではアイレットやトーの形状について何かルールがありますか?
    それとも外羽根プレーントーならどの様な仕様でもビジネスフォーマルからスポーツコートまで使用出来ますか?

    • kakao.neko様

      フォローありがとうございます。

      「外羽根プレーントーならどの様な仕様でもビジネスフォーマルからスポーツコートまで使用出来ますか?」については、
      ビジネスフォーマルからスポーツコートまで合わせることができるブラウンスムースレザーの外羽根プレーントーを前提としているものと推察しますが、
      ブラウンスムースレザーで外羽根プレーントーならば、どのような仕様でもビジネスフォーマルからスポーツコートまで適しているということはございません。

      例えば、外羽根プレーントーのカントリーシューズを考えたとき、起毛素材のブラウン、クレープソール、白等の対照的な色のアウトソールステッチ(出し縫いの糸)といった靴がありますが、仮に起毛素材のブラウンをスムースレザーのブラウンに変えたとしてもビジネスフォーマルに適切とは言えません。

      また、アイレット数やトーの形状は、それだけでその靴のドレス度合いを決定するものではなく、要素の一つです。
      これは他のコメントにて返信した内容の繰り返しとなりますが、靴とその他服装の組み合わせに影響を与えるものにシルエットがあります。
      例えば、ウィングチップの項で掲載した JM WESTON 590 トリプルソールダービーは、ソールの分厚さ、ウェルトの張り出し、ラストから、スポーティーなシルエットをしています。
      仮に、アイレットを5から3にしたところで、随分とスポーツ寄りな靴に変わりありません。

      ブラウンスムースレザーの外羽根プレーントーには、ビジネスフォーマルに適しているものがあり、スーツに適しているものもあり、スポーツコートに適しているものもあるというようにご理解ください。
      意匠とアッパーの素材(黒のスムースレザーや起毛素材等)以外の要素によるドレス度合いへの影響はイラストレーションも参考にして、ケースバイケースでご判断いただきたいと思います。

      装ひ研究所 管理人

      • 装ひ研究所
        管理人様

        返信ありがとうございます。
        言葉足らずですいません。
        文章補完頂きありがとうありがとうございます。
        仰る通りブラウンのスムースレザーの外羽根プレーントーの事でした。
        シルエット等含めて総合的に判断するという事で承知致しました。

        僭越ながらもう一つお伺いしたい事がございます。
        例えば下記のようなコンビネーションでは無いサドルオックスフォードは伝統的な着こなしではどの様な立ち位置になりますでしょうか?
        https://www.regal.co.jp/brand/regal/themasterregal
        店員の方からは外羽根プレーントーの様に扱って欲しいと言われましたが、サドルオックスフォード自体余り見た事が無く、内羽根なのか外羽根なのか自体分からず戸惑いました。
        試着したところ、かなり感触が良く、作りも丁寧だったので迷っております。
        これも総合的なディティールによって判断すべきなのかもしれませんが、良ければお知恵拝借させて頂きたく存じます。
        お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

        • kakao.neko様

          URLをクリックしましたが、ブランドの総合サイトのような建付けで何足も表示されるのでどれを指しているのかわかりませんでした。

          • kakao.neko様

            どのような靴を指しているのか理解できました。
            ただ、個別の靴に対して、それに適した装いを解説することはこのサイト上ではできません。
            丸い、四角い、薄い、厚いといったシルエット等には主観が入ってしまうからです。
            当サイトは装いの原理原則を解説し、極力主観を排していることをご理解いただけますと幸いです。

            ここからは一般論として、アッパーとサドル部が同系色のスムースレザーのサドルシューズに適した装いについて解説したいと思います。
            サドルシューズは基本的にスポーティな靴であり、例えば、そのような靴(アッパーとサドル部が同系色のスムースレザー)はゴルフシューズに用いられてきました。
            したがって、ウィングチップやノルウィージャンシューズに読みかえて、靴と服装の正しい組み合わせをご理解いただけたらと思います。

            繰り返しになりますが、個別の靴に関しては、意匠とアッパーの素材以外の要素によるドレス度合いへの影響を勘案し、ケースバイケースでご判断いただきたいと思います。

            装ひ研究所 管理人

  • 管理人様
    何時もお世話になっております。
    全体的なシルエット、質感によるとの御教示頂きありがとうございます。
    お時間頂き、お手数お掛けしました。

    • kakao.neko様

      ご返信ありがとうございます。
      お役に立てたのであれば幸いです。
      また気軽にコメントお待ちしております。

      装ひ研究所 管理人

コメントする

目次
閉じる